【決算分析:2017年12月期】クラウドクレジットの最新決算を分析

2018年8月23日更新
Cloudcredit kessansetsumei

日本の数あるソーシャルレンディング会社の中でも、独特の存在感を持つクラウドクレジット。海外案件専門という特徴を持っており、リスク分散の一環として利用する人も多いソーシャルレンディング会社です。

 

クラウドクレジットは上場していませんが、官報で決算情報が掲載されています。そこで決算情報からクラウドクレジットの財務状況や事業者リスクの有無について迫ってみたいと思います。

 

最新の決算の数字

クラウドクレジットが発表した、最新第6期の決算の数字は以下のようになっています。

これを見て分かることは、同社が大変赤字の多い企業であるということです。

 

利益剰余金はマイナス7億6千万円にも達しています。更に当期純損失も2億円弱となっています。他のソーシャルレンディング会社のように匿名組合出資金の項目がないため、2017年末時点でクラウドクレジットがどの程度のお金を投資家から預かり、どの程度の金額を運用しているかは不明です。

しかし同社のプレスリリースによれば、2017年末時点での累計出資金額は50億円程度であることが分かります。

それでは、第5期の決算情報も見てみましょう。

第5期と第6期で決算時期を変更しているため、参考程度になりますが、資産は5期と6期で増加しておらず、赤字の幅はやや改善されたものの、以前として通年では赤字体質であることには変わりありません。

また売上額は明らかにされていませんが、50億円の運用を金利5%でしたとしても、売上は2億5千万円です。

売上額から見れば、かなりの赤字の大きさだと言えるでしょう。

 

 

大幅な赤字体制であるが、自己資本比率は高い

このように決算の数字を見ればクラウドクレジットは大幅な赤字であると言わざるを得ません。

一方で先の図表を見る限り2018年1月に放送したテレビ番組の効果もあって会員登録数は1万人から2万人と短期で大幅な上昇を見せ、3ヶ月程度の期間で50億円を投資家から集めることに成功しています。

 

貸付金額が急激な伸びを見せているため、利益面に関して言えば改善傾向があると考えられるでしょう。

一方で資本剰余金は第5期と第6期の比較で298,007千円から1,025,917千円と大幅に増加しています。この面を見れば、直近の倒産は起こりにくいとも言えます。

 

 

資金調達には成功をしている

また同社伊藤忠やマネックス、第一生命、三菱UFJキャピタルといった大企業が出資していることでも知られています。さらに2018年11月には株式会社電通とパートナー提携の発表を行っています。

 

資金調達の実施並びに電通グループとのパートナー提携の開始のお知らせ

クラウドクレジット株式会社【本社:東京都中央区、代表取締役社長:杉山智行、以下「当社」】は、このたび総額約4億円の資金調達を実施いたしました。また、株式会社電通【本社:東京都港区、代表取締役社長執行役員:山本敏博、以下「電通」】グループと当社サービスの革新に関する包括的な業務提携を開始いたしましたのでお知らせいたします。

 

このように伊藤忠のような大手商社からの出資を受け、そして電通のような最大手広告代理店と業務提携ができるつながりがあることは、会社の資金調達の上では大きなメリットになります。

クラウドクレジットが現在赤字であることには変わりませんが、事業拡大、会社維持に必要な資金調達をこれらの大資本企業から行うことができれば、赤字と言っても即時の倒産の心配を気にしなくて済むかもしれません

 

このような大企業との連携が可能な背景には、クラウドクレジット社長杉山智行氏のこれまでの経歴も影響していると言えそうです。杉山社長は東京大学を卒業し大和証券、そして外資系のロイズ銀行で勤務をしてきた経歴を持っています。

またクラウドクレジットの役員も同じような経歴を持っており、社員も杉山社長の繋がりで勧誘した、証券会社出身の人物が多くいることがTV番組内で明らかにされています。

 

こういった人材採用、人脈構築に力を入れているためにクラウドクレジットでは大手の会社との提携が可能だとも言えるでしょう。

 

クラウドクレジットは高コスト体質か

一方でこういったクラウドクレジットの人材戦略は、必ずしもプラス面だけではありません。銀行や証券会社は平均年収が高い業界であることは言うまでもないでしょう。そういった会社から人材を調達するということは、採用の資金そしてそれぞれの社員に支払う給与も高くなくてはいけません。

さらにクラウドクレジットはこれまでの累計貸付金額は110億円程度ですが、社員数は40名近い人数です。

 

ソーシャルレンディング会社最大手のmaneoマーケットが売上高32億円、そして社員数maneoとmaneoマーケットをあわせて40名程度ということを考えるとクラウドクレジットの社員数は多いと感じられます。

会社の維持費には、社員の給料だけではなくオフィスの賃料なども考えなくてはいけません。

 

そういった会社維持のためのコスト面で考えると、クラウドクレジットは大変に高コスト体質であり、かなりの金額の貸付けを行わないと、すぐの黒字化は難しいかもしれません。

数十億円規模の貸付を継続的に実行することが求められてきます。

 

2018年6月時点の累計募集金額は110億円です。その5%の営業者利益を確保していたとしても、5億5000万円です。更にこれは累計の募集金額です。

2018年の1年間で100億円の融資を行ったとしても売上は5億円、40人の社員を雇えば利益は殆ど無いかもしれません。

もちろん高コストな人材は高い能力を持った人材です。そういった人材を雇うことによって事業を拡大し、収益性を一気に改善できる可能性もあります。積極的に人材を採用していること、資金調達に成功していることに期待するか、高コスト体質を懸念するのかは、投資家としての判断が求められるでしょう

 

 

海外の高金利案件の開発が必達

一方でクラウドクレジットは海外の案件を専門にしているという特徴があります。海外の案件を専門にしているため、日本の貸金業法の規制を受けないのです。日本の貸金業法では通常の融資は金利15%までしか設定できません。

 

しかし海外であれば日本の貸金業法は無関係なので、融資相手によっては20%~30%といった非常に高い利回りを設定した融資が可能です。

同社では貸付金利を後悔していませんが、案件詳細の期待利回りと運用手数料から、ある程度貸付金利を推し量ることは可能です。(ただし単純にこの2つの数字を足した数字で貸付をしているわけではないと、同社では回答しています)

欧州ハイイールド型案件などは個人対象で無担保融資であるため、かなりの高金利で融資していることが推測されます。

 

こういった収益性の高い案件を複数確保していけばクラウドクレジットは事業の収益性を大幅に高められ、高コスト体質を吸収して会社の成長を遂げることが可能になるでしょう

 

 

 

まとめ

決算情報だけを見ればクラウドクレジットは危険さを感じてもおかしくありません。なかなか黒字化を達成できず、外部からの資金調達に依存している状態とも言えるでしょう。外部から見放されてしまえば一気に倒産に追い込まれるかもしれません。

 

その一方で大手企業との繋がりもあり、また収益性の高い海外案件を多数取り扱うことができるというメリットがあります。更に今年に入ってから急成長を遂げているため、黒字化への業務足し異質改善は着実に行われているともいえます。

つまり、クラウドクレジットは高いリスクと高い収益性をともに孕んでいる会社と考えられるでしょう。

 

投資家としてはやはり慎重に投資先を検討するべきです。倒産リスクが一定程度存在するのは間違いないわけですから、分散投資の一部を投資するなどリスク踏まえて投資を行う方が良いかもしれません。

 

 

この記事を書いた人

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麻宮太郎(まみやたろう)

不動産投資及びソーシャルレンディング投資で早期リタイアを目指すフリーのアラフォーWEBライター兼ディレクター。不動産投資系を中心に執筆活動に励んでいる。オタク知識を活かした不動産投資を始めるのが目下の目標。

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